甥・姪には、叔父・叔母の老後を見る義務があるの?
法律上、お互いの生活を支え合う義務(扶養義務)を負うのは、原則として親子や祖父母と孫などの直系の家族と、兄弟姉妹です。甥・姪は叔父・叔母から見て「三親等」の親族にあたり、特別な事情があって家庭裁判所が認めた場合を除き、扶養義務はありません。
また、入院や施設入所のときに求められる「身元保証人」も、引き受けなければならないものではありません。
何も準備しないと、どんなことが起こる?
認知症になると、預金が引き出せなくなることがある
銀行は、ご本人の判断能力が確認できないと、預金の払い戻しに応じない場合があります。施設の費用や生活費を引き出すには、家庭裁判所に成年後見を申し立てる必要があり、手続きには数か月かかることもあります。
入院や施設入所のたびに、甥・姪に連絡が来る
ほかに頼れる人がいないと、病院や施設から緊急連絡先や保証人として甥・姪に連絡が入ります。遠方に住んでいると、そのたびに駆けつけるのは大きな負担です。
亡くなった後の手続きが、甥・姪にのしかかる
葬儀や納骨、住まいの片付け、公共料金の解約など、亡くなった後には多くの手続きがあります。さらに、子どもがいない方の場合、ご両親が亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人になり、その兄弟姉妹も亡くなっていれば甥・姪が相続人になります。遺言がなければ、相続人同士で遺産の分け方を話し合う必要があります。
叔父・叔母が元気なうちにできる3つの備え
こうした負担は、叔父・叔母ご本人が元気なうちに、次の3つを準備しておくことで大きく減らせます。
| 備え | 役に立つとき | 主な内容 |
|---|---|---|
| 任意後見契約 | 判断能力が低下したとき | 預金の管理、施設の契約、費用の支払い |
| 死後事務委任契約 | 亡くなった後 | 葬儀・納骨、住まいの退去、各種の解約 |
| 遺言 | 亡くなった後 | 財産を誰に、どのように遺すか |
① 任意後見契約|判断能力が低下したときに備える
将来、判断能力が低下したときに、財産の管理や契約を任せる人を、ご本人が自分で選んでおく契約です。甥・姪を任意後見人にすることもできますし、負担をかけたくない場合は専門家に任せることもできます。公正証書で作成する必要があります。月1回の連絡などで様子を確認する「見守り契約」と組み合わせると、判断能力の変化にも早く気づけます。
② 死後事務委任契約|亡くなった後の手続きを託す
葬儀や納骨、住まいの退去、各種サービスの解約などを、生前に契約で託しておく方法です。専門家に依頼すれば、甥・姪が手続きに追われることはありません。葬儀などの費用は、契約時にお預かりする預託金からお支払いします。
③ 遺言|財産の行き先を決めておく
兄弟姉妹や甥・姪には、法律で最低限の取り分が保障される「遺留分」がありません。そのため、子どもがいない方は、遺言で財産の行き先を自由に決めやすい状況です。お世話になった甥・姪に多く遺したい、特定の団体に寄付したいといったご希望も実現できます。確実さを重視するなら、公正証書遺言をおすすめします。
よくあるご相談の例
札幌市内でひとり暮らしをしている70代のA子さん。ご主人を亡くし、お子さまはいません。東京に住む甥のBさんは、A子さんから「何かあったら頼むね」と言われていましたが、仕事があり頻繁には札幌へ通えません。
Bさんと一緒にご相談にいらしたA子さんは、話し合いの結果、次の3つを準備しました。
- 当事務所との任意後見契約と見守り契約
- 葬儀や住まいの片付けを託す死後事務委任契約
- 財産をBさんに遺す公正証書遺言
Bさんは緊急時に連絡を受ける立場にとどまり、日々の手続きは当事務所が担う形になりました。A子さんからは「これで安心して暮らせる」、Bさんからは「遠くにいても、叔母のことを任せられる人がいるのは心強い」とのお声をいただいています。
※ よくあるご相談をもとにした架空の例です。
甥・姪として、今できること
- 叔父・叔母の希望を聞いておく(どこで暮らしたいか、葬儀の形など)
- 預金・保険・不動産などの財産を、おおまかに把握しておく
- かかりつけ医やケアマネジャーの連絡先を共有してもらう
- 自分にできること、できないことを率直に伝える
- 専門家への相談を、叔父・叔母と一緒に検討する
まとめ
甥・姪には、叔父・叔母の老後を見る法律上の義務は原則としてありません。それでも、何も準備しないままでは、結果として甥・姪に大きな負担がかかりがちです。任意後見・死後事務委任・遺言の3つを、叔父・叔母が元気なうちに準備しておくことが、ご本人の安心と甥・姪の負担軽減の両方につながります。
当事務所では、叔父・叔母ご本人だけでなく、甥・姪の方からのご相談もお受けしています。初回のご相談は無料で、遠方の方はオンラインでもご相談いただけます。「何から始めればよいかわからない」という段階でも、どうぞお気軽にお問い合わせください。
この記事に関するよくある質問
甥・姪だけで相談してもよいですか?
はい、まずは甥・姪の方だけでご相談いただけます。ただし、契約や遺言にはご本人の意思が必要なため、あらためてご本人と面談します。外出が難しい場合は、当事務所がご自宅や施設へ伺います。
叔父・叔母がすでに認知症の場合は、どうすればよいですか?
症状が軽く、ご本人が内容を理解できる段階であれば、契約や遺言ができる場合もあります。難しい場合は、家庭裁判所に成年後見を申し立てる方法をご案内します。
3つの備えをすべて準備すると、費用はどのくらいかかりますか?
ご希望の内容によって異なります。各サービスの料金は料金ページでご案内しています。初回のご相談でお見積りをお出ししますので、お気軽にお問い合わせください。